台パンするなら麺を打て

対麺厨です。TwitterID @pokebozu2000

トリックルーム

 私がその技に出会ったのは、今からちょうど20ヵ月ほど前のことだったと思う。思えばそれからの日々は、まさにあっという間であった。朝食を摂ってすぐにトリックルームを貼り、学校から帰ってトリックルームを貼り、部活に疲れて足が動かなくなってしまった夜も、女に振られて眠れずに迎えた朝も、私はレートでトリックルームを貼り続けた。他の構築に浮気した日もあったが、そんな日々の中にあっても、私の頭の中からトリックルームという概念が消滅した日はない。なにより私はトリックルームの中でたくさんの思い出を手に入れることが出来た。勝利歓喜も、敗北の屈辱も、盟友との出会いや別れでさえ、それらの感情は全てトリックルームの中で味わってきたと言っても過言ではない。私の青春はまさにトリックルームの中にあったのである。そして間もなく、私がはじめてトリックルームを貼ってから、3度目の秋を迎えようとしている。3度目の秋を実り多きものとするためにも、今思うところを書き残しておこうかと思う。

 とはいえ、ただその技についての説明をするだけでは「トリックルーム」で検索することの下位互換になりかねないので、自分が先日触発された記事に示された価値観に則って、この技について再定義していこうかと思う。(文中における「この技」という言葉は全て「トリックルーム」と同義であるものとすふ。)

↓参考記事

http://mokugyo327.hatenablog.com/entry/2017/07/01/170000

 

この記事に示されている価値観をトリックルームに代入すると、トリックルームは「負けない動きと勝つ動きを同時に行うことが出来る」 技であると言える。例えば相手のボーマンダ軸に対して、相手の勝ち筋が「ボーマンダが竜舞を積み、上から高火力で全抜きを狙う」ものだった場合、こちらがミミッキュポリゴン2などの行動保証のかかったポケモントリックルームを貼ることによって、相手の「上からの制圧」という勝ち筋を潰しつつ、こちらの「下からの制圧」というコンセプトを通しに行くことが出来る。これは、7世代で弱体化された電磁波を筆頭とした他のS操作手段と異なるトリックルームならではの強みだと考えている。

 またトリックルームの圧力によって相手の行動を読みやすくなり、有利な択を押し通していきやすいことも挙げられる。これは選出段階においても同じことが当てはまり、高速低耐久のポケモンに対して、トリックルームを軸としたパーティーは選出段階でかなり強力な選出圧力をかけることが出来る。また、基本的にS関係が逆転し、縛りの概念も逆転することが多いため、相手の選出がサイクルに寄りやすい。それを手がかりに相手の裏を読んだり、相手の交代や、ターン稼ぎの悠長な行動に合わせて積み技を使うことは、単に積み技を使って強引に択を通しに行く場合に比べ、通る確率が高くなる。レーティングバトルは対戦数を重ねることが出来るため、たとえ短期的に目に見えた結果では現れずとも、少しでも可能性の高い択を選び続ければ最終的には結果として現れるように出来ている。そういった点で見れば、こちら側の勝つ動き(交代際の積み技やあるポケモンを薄めに見た選出)が通る確率を上げてくれるという側面においても、トリックルームという技の有用性はある程度存在しているのではなかろうか。

もちろん弱点も存在する。ターンに制限があるため、襷によって行動保証を得ているポケモンとの対面は例えそのポケモンを倒すことが出来たとしてもターンのロスとなり、終盤トリックルームが切れてしまった結果不利になることが多い。また、構築自体が中低速に固まりやすいので状態異常や挑発といった搦め手に弱くなってしまうことや、受け回しに対して別途明確な回答を用意しなければ、受け回しの構築に対しては安定しないことも、トリックルーム軸の弱点と言える。特に襷持ちのポケモンは、こちらが裏選出で臨んだとしても腐りにくく、また多くの構築に採用されているため要警戒である。

 最後に7世代トリックルーム界の超新星とも言うべき、ミミッキュというポケモンの強さについても言及しておきたいと思う。比較対象としてポリゴン2、トリルエースとしてクチートを例にとって考察してみる。ポリゴン2の強さは、ダウンロードでCが上がった時の火力と、火力に努力値を降ってもなお複数回の行動保証を得やすいその耐久力にある。しかしダウンロードという技が基本的に相手依存であること、バシャーモが非常に重いため、バシャーモ絡みのギミックパーティー(バトン構築)に対しては非常にリスクの高い選択を迫られることなどのデメリットも多く存在した。そして何より大きかったのが7世代に入ってからのZ技の登場である。これによってポリゴン2は、メガ以外のほとんどの初手対面で、「相手がZを打ってこないのならまだトリルを貼るべきではなく、打ってくるのなら今トリルを貼るべき」という択が発生してしまう。基本的にトリックルームはターン制であるため、ポリゴン2が倒れるギリギリのタイミングで始動したいが、それではZ技のケアができない。Z技は全てのポケモンが打つことが出来るため、7世代に入ってからのポリゴン2は目に見えない択が非常に増えてしまった印象がある。ただ、それでもなおC上昇時の火力と耐久力には素晴らしいものがあったので、ポリゴン2は基本的には「勝つ動き」の方にシフトしたトリックルーム指導要員だと言える。

 一方ミミッキュは、「負けない」範囲が非常に広いポケモンであると言える。耐久に関係なく一度の行動保証を得ることが出来、持ち物も自由、努力値もかなり自由度が高いため型が読まれづらい。そして呪いという技の存在により、バシャーモバトン、オニゴーリなど従来のトリルクチート軸が勝つには択と確率が非常に絡む構築に対してかなり楽に立ち回ることが出来る。火力のなさが欠点だが、先程述べた呪いや鬼火電磁波挑発といった多彩な補助技を持つため、起点にされづらい。さらに特性の化けの皮は先程述べたとおり耐久に関係ないので、Z技の択になりづらい。(皮を剥がれた後は、きあいのタスキなどの行動保証アイテムを持っていない限りはZ技を気にして立ち回る必要がある。)火力はない反面、戦える範囲の広さがポリゴン2よりさらに広いので、ミミッキュは「負けない」動きがしやすいポケモンであると言える。

 何れにせよこれらの性質を理解した上で、自らの構築やプレイスタイルに合わせ、そのポケモンの強みを理解した上で使用するのが肝要だと考えている。

 最近少し考えていることについて、長々と読んでくださりありがとうございました。

 それでは皆さん、良いトリックルームライフを。

 

 

質問、ご指摘などは以下のTwitterまたはコメント欄まで

 

@someman_poke